合格対談 2011年度 東京大学 文科V類 合格 石川 想 君(帝京可児高校)
「東京大学」。紛れもなく日本一の大学。日本中どこであっても、さらに世界中でも賞賛される大学。そんな大学に彼は入学を許された。至って普通の小学生で、中学生だった。高校に入っても東大に行くなんて本人も思っていなかったという。そんな彼の勉強へのモチベーションは「勉強を好きになること」だった。
高木先生(以下「高」):東大合格して1週間だけど実感は湧いてくる?
石川想君(以下「石」):受かったなあとは思ってきていますが、今でも「あ、そうか」みたいな感じです。
高:やっぱりナンバーワンの大学だから、これから先社会からの期待値、基準値も自然と高くなってくるからね。求められる事も高くなって辛いところでもあるけど、それによってまた人としてぐぐっと成長させてもらえるってことなんだよね。
想君は東大に入学したら何がやりたいとか決まってる?
石:具体的なものはないんですけど、環境としては最高なので・・・。自分はまわりに引っ張られて頑張るタイプなので、その環境の中で頑張りたいですね。
高:なるほどね。東大はいつごろから目指し始めたの?
石:高3になる直前、3月ぐらいですね。最初は一橋大学だったんですけど、塾に入って4日後ぐらいに・・・・・・(笑)
高:4日はすごいね(笑)。 高1、高2の時点ではどうだった?
石:受験に関しては何も考えてなかったです。両親が東京の大学だったので『大学は東京方面』と漠然と思っていました。
高:最初は一橋大学を目指していたみたいだけど、何で最初は一橋大学だったの?
石:一橋大学は文系では東大を別にしたら一番じゃないですか。あと東大は社会が二科目必要だったので普通に学校で勉強していくなら一橋大学だと考えてました。
高:なるほどね。想君は塾に入る前は抜群にできたいうわけではなかったよね。一番悪い時にはどれぐらいだったの?
石:点数ではわからないですけど、クラス23人中・・・19位ぐらいだったと思います。
高:え?(笑)、そこから東大合格なんてドラマだね。19位だった時って勉強はやってなかった?
石:英語だけはやってました。
高:やったと言ってもガリガリって感じなわけではないよね?
石:真剣に授業を聞いていた、って感じです。
高:高1、高2の頃の想君の頑張っていたというのは『授業中に真剣に聞いている』ということなんだね。家での勉強は・・・・・・。
石:たまに宿題ぐらいでほとんどやりませんでした(笑)。
高:その時の想君の生き様はどんな感じだったのかな? 勉強はしたくないとか?
石:そうですね、何もしたくないみたい・・・みたいな。
高:何もしたくない?(笑) 高1、高2の想君の心境はどうようなものだったんだろ・・・。大学とか目標設定とかもまだないわけでだよね? 日々をどういう形で生きていたのかな?
石:何も考えてないんですよ(笑)。ただグルグルとサイクルに合わせて生きているだけでした。まあ普通に楽しくは過ごしていましたけど・・・。
自分の好きなことに関する記憶は抜けていかないんです。
高:毎日の生活の中で一応楽しみは見つけていたわけだね? だけど特進クラスにいて、周りが勉強をし始めていたから影響は受けていたと。
石:そうですね。高1の頃から勉強し始める子が増えてきて、多い子は1日3時間とか家でやったりしていて、僕はずっと0時間と書いていましたけど(笑)
高:やらない自分に対して焦りはなかった?
石:なかったです。
高:それがすごいよね。
石:確かにできなかったんですけど、それは今はやっていないからできないのであって、やればできる(はずだ)と根拠のないことを思っていたので(笑)。
高:すごい結論だね(笑)。一般的な子はある意味『やってもできないかもしれない』という不安があるんだと思うけど。『やったらできますよ』って余裕感はどこから生まれるんだろうね?
石:昔から根拠のない自信はあった気がします(笑)
高:小学生のころからそんな感じだった?
石:かもしれないですね。覚えてないですけど・・・。中学生のころ最初は英語なんて全くできなかったんです。でもその時にできるんだと自信をもちました。
高:できるってことを何で体感したのかな?
石:小テストとかですね。いつも小テストは真面目に勉強してなかったんで落ちてたんですけど、3回連続で落ちたら居残りというのがあったので、3回に1回、たまに真面目にやると、ちゃんと合格できていたので・・・できるんだと。
高:やればできるじゃん、みたいな。英語がそんな感じだったんだ。
石:そうですね。好きな事って簡単に忘れないじゃないですか? だから英語に関しては一度覚えたものはほとんど忘れることはなかったですね。授業は真面目に聞いていたので普段の期末テストとかでは悪い点数はとりませんでしたね。
高:だけど数学とかってさ、復活させるのは難しいよね? よくできたなぁと思ってさ・・・。
石:やっぱり自分の好きな事・・・自分からやろうとすることは(記憶から)抜けていかないので『数学を俺は好きになるんだ』と思ってやったら忘れませんでした。
高:よくそういう風に思えるよね。
石:確かに難しいですよね。自分は古典とか数学に関しては自分を洗脳してできましたけれど・・・何か日本史は洗脳しきれない面もありました。
嫌々やっていても苦しいだけ、まず「好きになろう」と思いました。高:そこは格闘をしたわけだ『好きになろう』って感じで。
石:英語とかだったら「英語を話せる人はかっこいい」と思って勉強するじゃないですか。だから「数学とける人はかっこいい」「古典をさらさら読める人はかっこいい」って思えれば、やっぱり自分からやる姿勢になってドンドン入ってくると思うので。
高:それはすごいね! 勉強を勉強というカテゴリーに当てはめるんじゃなくて、何かが好きと思える感覚? 最高だね。
石:だからその意識を高めるために数学者のドキュメンタリーを見たりしました。それで「かっこいい」と思えたら数学やろうって自分が出来上がるんですよ。
高:それはすごいな。その発想の原点は何かな?
石:嫌々やっても苦しいだけだし、それではやく抜けていっても意味ないですよね。それならやっぱり自分が変わらなければいけないと考えたので。
高:その変換への説得というか、モチベーションへの訴えかけというのはいつごろからはじめたの?
石:いつの間にかって感じです。数学に関しては元からありました。だから塾に入って勉強したら普通にできるようになったって感じですね。
高:高1、高2の頃からある意味『点』として、数学者がカッコいいみたいなモチベーションへの説得要素を入れていたわけかな?
石:そうかもしれないですね。そこまで意識はなかったんですけれど、まあ結果的にはそうなりますかね。
高:それはすごいね、ほんとに。そういえば日本史は最後まで嫌いみたいだったけれど、一番ひどい時でどのくらいだった?
石:二年生の2月のマーク模試で35点でした。
高:そこから8割まであげるってのは並々ならぬパワーが必要だよね。ましてや数学も良くなかったのに、最初何点だっけ?
石:60点ぐらいでしたね。
高:そうだよね。普通ありえないでしょ! 確かに色々な積み重ねとか思考の過程とかのバックボーンはあったとは思うけれども、その成績を一年で東大合格までいかせるってのはやっぱりすごいと思うよ。
話を戻すけれど、日本史が35点の時もやっぱり「僕は勉強してないからできないだけだ」って感じだった?
石:その通りです。僕はもう日本史は暗記科目だから秋からやっても大丈夫だと考えていましたし。
高:市進予備校の一年カリキュラムの日本史を二ヶ月で見て、あっという間に結果出したよね、84%だっけ? 「ほら見てみろ!」って感じだった?
石:はい、そんな感じでしたね! 担任の先生がビックリしてました。
高:やっぱりいつも冷静な想君なりにも「よっしゃ!やればできるんだ」って自信にはなった?
石:はい、それはもう・・・本当にやればできるって言葉通りにできたので。
高:数学はどんな感じだっけ?
石:数学のZ会の先生がすごいカッコいいし論理的だったんですよ。まあそれで数学が好きになったとまではいきませんけれど「数学ができるようになりたい」とは思いましたね。あとその先生の説明が『何を求めるために今何をしているのか?どんな過程にいるのか?』ということをわかりやすく説明してくれていたので「ああ!そうか!」みたいな感じにもなりましたしね。
高:その中に想君なりの数学に対する価値観を見つけ出したというわけだね?
石:そうですね。
高:日本史は東大の二次でも使ったよね、やっぱり最終的にはできたという感じなのかな?
石:いや、他の教科でカバーした感じです。洗脳しようと努力はしたんですけど、どうしても好きにはなれなくて(笑)。何とか点数をとるには音読で叩き込むしかないと思いました。反射的に音読すれば問題も解けるだろう!と。
高:だけどそういうところに出るんだよね本気の思いって・・・。想君は井本君と一階のロビーで高々と音読してたよね。なんか俺にはオーラが見えたからね。すごいね。数学に関しては東大の二次数学を受けるにあたって、Z会の先生の授業も受けて、その見方はどう変化したかな?
石:あの先生の授業で「数学ができるようになりたい」ってやる気が出てきましたし、文系だから2年生で範囲は全部終わっていましたし、その他の要因も色々あったので時間と比例して点数も上がったみたいな感じですね。
高:想君のメソッドとしては感性的なものも含めて、まず「自分のモチベーションに訴えかける」もしくは「モチベーションを上手く演出する」みたいなことが大きいよね。
石:そうですね。やっぱり嫌々ではなくて、勉強に何かと面白い事を見つけたり、心開いたりするようにすれば、点数も効率も自然に上がると思います。
高:そういうことだよね。
先生や後輩からの刺激が「落ちるわけにはいかない」という良いプレッシャーに
高:そういえば、どういうことがきっかけで立志塾に入ったのかな?
石:最初近所の塾に行こうとしたんですけれど、知り合いが多かったんですよ。自分は勉強しているところを人に見られたくなかったので、その塾には行かないことにしたんです。その次に立志塾ともう一つの塾で迷ってたんですけど、その塾を見学しに行ってドア開けたら皆が必死にガリガリと勉強してたんですよ。なんかある意味の恐怖を感じたものですから、やめたんです。立志塾は広告を見たときには大手の塾かと思ったんですよ。宣伝がそれっぽかったんで(笑)。それで来てみたら普通に良かったんです。映像授業なども良くて入ることに決めましたね。
高:想君は一年を振り返ってみて、立志塾に入って良かったことは何があったかな?
石:長瀬先生の授業とかでも学べることは色々あったのですが、一番良かったなと思うことは井本君とか可児君がいたので、下からの刺激がすごくて「落ちるわけにはいかない」という良い意味でのプレッシャーがあったということですかね。高木先生からも東大という(笑)。
高:(笑)下からのプレッシャーがあったのか。だけど今回の合格は後輩たちにも希望を与えてくれるよね、こういう風に軌跡が残ったわけだよね。俺自身も今回の想君の合格で自分のステージが押し上げられた感じがするからね。本当に最終的にでっかい冠を得たよね。スタートから考えたらホントあり得ないよね。
後輩に何かアドバイスはある?
石:勉強の中に面白いことを見つけること、心を開くことをやっていけば自然に点数は上がると思うので、そういうところを頑張ってやっていってほしいですね。僕の場合は昔、英語がペラペラに話せる人に会って「かっこいいなあ」と感じてからずっと英語を勉強していましたから。思い込みというのは大切に思います。
高:そういう発想というか・・・そういうものがないとやっぱり東大は合格しないかもね。大学生活は楽しみ?
石:楽しみですね。一人暮らしもそうなんですけれど、環境が変わり自分をもっと磨ける感じがするので。
高:夢はある?
石:今は詳しくはないんですけれど、東大に入ってから考えていきたいですね。周りは自分よりも上の人間たちばかりなので色々な刺激があると思いますし。
高:ほんと羨ましいよ(笑)。日本のトップだもんね、ほんと頑張ってね。
石:はい、頑張ります。
高:代々受け継がれますので……(笑)
石:(笑)
高:では、ほんとに合格おめでとうございます。
石:ありがとうございます。
ついに、ついに、立志塾から、東京大学が出ました!
ソウ君が、やりました!
あのひたむきな音読、東大前期終了後も、勉強の手を緩めず、ひたむきに、
いや〜、うぉ〜、
神様が大きなギフトを。凄いね。
(高木/2011年3月11日)
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